G.ガルシア=マルケス「エレンディラ」

エレンディラ (ちくま文庫)

エレンディラ (ちくま文庫)

 突然、ガブリエル・ガルシア=マルケスの小説を読みたくなって、偶然、目に付いた、この本を読み始める。6つの短編と「無垢のエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」という、やたら長いタイトルの中編が収められている。いずれも民話的な物語。短編は「大きな翼のある、ひどく年取った男」「失われた時の海」「この世でいちばん美しい水死人」「幽霊船の最後の航海」など、荒涼とした海が舞台になっている短編が多い。ガルシア=マルケスはコロンビア北部のアラカタカに生まれたというが、これは故郷の風景なのだろうか。改めて、地図で見てみると、コロンビアは中米から南米に入る場所に位置し、カリブ海と太平洋に面している。ともあれ、短編は不思議な物語。で、短編は読み切ったのだが、中編で、この本のタイトルにもなっている「エレンディラ」は途中で挫折してしまった。主人公の人生行路が物語風に延々と語られる西欧の古典文学を思わせるような小説。面白くないことはないのだが、他に読みたい本が出てきて、そちらに流れてしまって、途中で本を置いてしまった。