R.P.ファインマン「ご冗談でしょう、ファインマンさん」(上)
- 作者: リチャード P.ファインマン,Richard P. Feynman,大貫昌子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/01/14
- メディア: 文庫
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このシステムの生みの親たるフランケル氏は、コンピュータをいじったものなら誰でも知っている、いわゆるコンピュータ病にかかってしまった。この病気はなかなかの難病で、仕事に非常にさしさわりがでてくる。コンピュータで困ることは、これを使ってついつい遊んでしまうことである。
コンピュータが生まれた昔から、そうだったのだなあ。
ファインマンはマンハッタン計画の最中に、最初の夫人を失っているのだが、そのなかに、こんな一節がある。
(アーリーン夫人が亡くなったときは)涙も出てこなかった。ほんとうに涙がこぼれたのは、何カ月も経ってからのことだ。オークリッジのデパートの前を通って、ふとショーウィンドウの中のドレスを見つけ、ああアーリーンの好きそうな服だなと思った瞬間だった、悲しみの波が一挙に押しよせてきたのは。
涙はそういうものだ。