パッチギ!

 昨年の映画賞を総なめにした井筒和幸監督の映画。「ガキ帝国」「岸和田少年愚連隊」の流れを組む高校ケンカ映画の集大成に「在日」の問題を刻み込んだ、直球の映画。監督の思いが走っていく感じ。荒削りで、暴力的。70年前夜、フォーク・クルセダーズの音楽に、京都となると、団塊世代はもう失神してしまうのだろうなあ(映画の冒頭も、グループサウンズ名物の失神だったけど)。主演の塩谷瞬、沼尻エリカ、高岡蒼佑、みんないいし、女番長からナースになる真木よう子がいい役。一番の怪演は、フォークソングを卒業して北欧に行ってヒッピーになってしまうオダギリ・ジョー。本当に正体不明の役者。ともあれ多作だし、どんな人だか、わからない。しかし、これが昨年の最優秀作かといわれると…。団塊世代以上の評論家は好きだろうなあ。