大崎善生「将棋の子」

将棋の子 (講談社文庫)

将棋の子 (講談社文庫)

 「聖の青春」の大崎善生の第2作。今度のテーマは奨励会だった。23歳までに初段、26歳までに4段になれなければ退会という苛烈な競争集団。いろいろな青春。読んでいると、美しすぎる感じもする。もっと凄絶な苛烈さがあるのではないかと思える。しかし、運命というのは本当に紙一重なんだなあ。実力だけではない。それだけでは計れない世界があるし、羽生を筆頭にした棋界の革命児たちは、多くの人の運命を変えてしまうことにもなったんだなあ、と思う。「聖の青春」と同様、一気に読んでしまった。