米国の大手新聞が身売りやら、地方紙売却やら

 昨日は、ニューヨーク・タイムズワシントンポストに伍する一流名門紙ロサンゼルス・タイムズを擁するトリビューンの身売り話が出ていた。

米新聞グループで発行部数3位のトリビューンが年内にも身売りする見通しだ。月末を期限に買収希望者を募る予定で、複数の大手買収ファンドが関心を示しているもようだ。電子メディアの台頭を受け、同社の広告・販売収入は伸び悩んでいる。売却交渉には曲折も予想されるが、実現すれば今春に同業へ身売りした業界2位のナイト・リッダーに続く動きとなる。

 と、思ったら、今日はウォールストリート・ジャーナルを擁するダウ・ジョーンズが傘下の地方紙会社を売却するという。ファクティバを完全子会社にするため、株式購入資金が必要なんだとか。

ダウ・ジョーンズ(DJ)は27日、地方紙6紙を米コミュニティー・ニュースペーパー・ホールディングス(CNHI、アラバマ州)に2億8250万ドル(約330億円)で売却すると発表した。売却で得る資金はDJとロイターが折半出資するデータベース会社のファクティバのロイター出資分の買い取りに使い、デジタルメディア事業を強化する。

 ファクティバ(factiva)は世界中の新聞社、通信社の記事を集めた情報データベース。ファクティバのサイトによると、内外メディア、1万以上の情報ソースのデータを提供しているという。
 http://jp.factiva.com/sources/index.html
 今回のDJの動きは、電子情報サービスを買うために、紙の新聞を売る、いわばメディアとしてのポートフォリオの入れ替えのようなものとみればいいのだろうか。DJとロイターという米国と英国の経済メディアの2強が共同で創りあげたメガ電子情報データベース事業だったのだけど、売るロイターの側は、あまり事業性を評価していなかったのだろうか。電子メディア化が進んでいるロイターとすれば、いまが売り時とみたのだろうか。ともあれ、紙からデジタルへのシフトを欧米のメディアは加速させている。
・ファクティバについてダウ・ジョーンズのプレスリリース
 http://www.dowjones.com/Pressroom/PressReleases/Financial/2006/1018_FIN_2875.htm
・ロイターのプレスリリース
 http://about.reuters.com/pressoffice/pressreleases/index.asp?pressid=2771