インターネット時代のビジョナリー、
梅田望夫氏と、脳と心を探究するサイエンティスト、
茂木健一郎氏の対談集。インターネットの時代、グーグルの時代をどう考えるか。未来は創造するもの、という確信というか、覚悟を感じる。元気の出る本。物事を何でもナガティブに眺め、変化を嫌い、責任と行動を回避する
シニシズムからは何も生まれない。ともあれ、大変革の時代なんだから、動いているみること。グーグルが誕生したのは1998年。まだ10年も経っていないのに、この変化。まだまだ何が起こるか、わからない。ネットを活用すれば、いろいろな情報や知識にアプローチできる。大学の時代は終わり、ネットという場が「学校」として機能するというのも、わかる。独学しようとする者にとって、こんな幸福な時代はない。対談の最後に、梅田氏が
慶応義塾普通部(中学ですね)、茂木氏が
横浜国立大学で学生たちを相手に講演した内容が収録されている。これがまた、いい。二人とも本当の意味での「教育者」なのだと思う。新しい
福沢諭吉なんだろうか。梅田氏の「
ウェブ進化論」は「西洋事情」、この「
フューチャリスト宣言」は「
学問のすすめ」だろうか。
で、これからの時代を楽しく生きる人間像は、というと、茂木氏曰く・・・
現代社会で求められているのはコミュニケーションと創造性の能力なんです。
納得だなあ。で、梅田氏の表現では
そこを知っているということだけでは、コモディティとなる(差別化要素がなくなって陳腐化する)から、一つの狭い専門の高速道路で、渋滞に差しかかっちゃって抜けられないと、価値が失われていく。俯瞰性のほうにいけば、異質なものを組み合わせて新しい価値を自分でつくっていくわけだから、ある専門分野の大発見みたいなことはできなくても、世の中を生きていくことはできるだろう。
アインシュタインではなくて、ダーウィンやマルクスのイメージという。