アンナ・ポリトコフスカヤ「チェチェン やめられない戦争」

チェチェン やめられない戦争

チェチェン やめられない戦争

 昨日、暗殺容疑者が逮捕されたと伝えられたロシア人ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤチェチェン戦争レポート。すごい。勇気の人、誠実の人だと思う。生命を狙われるのが分かるし、本人もどれだけ危険があるのか、分かっていながら、レポートを書く。すごいなあ。戦争の混乱の中で、人間を見る眼はやさしい。軍にしても、組織と人を分けて考えている。たぶん軍の中にもアンナ・ポリトコフスカヤのファンがいるのだと思う。それゆえに軍を追われたり、場合によっては命を落とす人もいたみたいだけど。打算に満ちた戦争がいかに、国家を、社会を、人間を腐敗させていくかが描かれている。旅の恥はかき捨てと、悪をチェチェンだけにとどめておこうと思っても、悪は次第に全身に広がっていく。それを看過できず、書き続けたアンナはロシアを心底、愛していたことが分かる。だから、書かずには要られなかったのだろう。しかし、ジャーナリストが殺され、自分の取材した人たちが殺され、敬愛し、尊敬する人たちが殺されていく中で、書き続けるというのは並大抵の勇気ではない。すごい人だ。