鹿島茂「情念戦争」
- 作者: 鹿島茂
- 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
- 発売日: 2003/10
- メディア: 単行本
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で、面白かった部分をいくつか。まずは、「悪の殿堂」といわれた、フランス革命当時、パリ最大の盛り場だったパレ・ロワイヤルが誕生した理由
代々のオルレアン公の居城が突如回廊式の商店街に変貌したのは1784年のこと。累積する借金に苦しんだ五代目当主ルイ=フィリップ・ドルレアン(フィリップ平等公)が、1780年にいたって、自分の住んでいるパレ・ロワイヤルの庭園を、なんとショッピング・センターに変えてテナント料を徴収しようと考えたのである。
この成功が近代商店街、いまのショッピング・モールの先駆けといえる。やはり、欲望が新しいビジネスを創るんだなあ。
頭のいい人間の欠点は、頭は悪いが意思堅固な人間に出会うと、すぐに戦いを放棄して、匙を投げてしまうところである。反対しても、バカは聞き入れないとわかると、どうにでもなれという気持ちになって、結局は、妥協するのである。
タレーランについて書いた文章だが、これって当たっているなあ。日本の帝国海軍と帝国陸軍の関係もこれに似ていたかも。
で次は、ツヴァイク(ツワイク)の『ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像 (岩波文庫 赤 437-4)』からの引用ではあるのだが、
「およそ専制君主なるものは、自分の欠点や失策を注意してくれた人に、感謝するものではない。(中略)王者は、自分が弱みを見せた瞬間を目撃した人を愛さないし、専制的な性格の人は、たった一度でも、自分たちより賢いことを示した顧問役を愛さないものだ」