米大統領選は中傷合戦、泥仕合化の恐れ

 米大統領選は投票まで残り1カ月を切る。オバマが先行しつつ、もうひとつ決定打がないなかで、共和党のペイリン副大統領候補の発言をきっかけに泥仕合化に陥る懸念。で、そのペイリン発言がこれ。

Alaska Gov. Sarah Palin on Saturday slammed Sen. Barack Obama's political relationship with a former anti-war radical, accusing him of associating "with terrorists who targeted their own country."

 オバマはテロリストが付き合いがあると、ぶちかました。武装闘争路線の反体制派の人が知り合いにいたらしいのだが、オバマ陣営としては、そうした経歴あるのある人物とは知らなかったということらしい。まあ、そうしたことも知った上で、共和党オバマはテロリストに甘い危険な人物というイメージをつくろうとしているんだろうけど。オバマのフルネームは「バラク・フセインオバマ」だから、イスラム教徒だと誤解している米国人もいるらしいから。で、この発言でペイリンは一線を踏み越えてしまったという批判もあるのだが、これに対して、オバマ陣営も・・・

Sen. Barack Obama (D-Ill.) on Monday is launching a multimedia campaign to draw attention to the involvement of Sen. John McCain (R-Ariz.) in the "Keating Five" savings-and-loan scandal of 1989-91, which blemished McCain's public image and set him on his course as a self-styled reformer.

 「Keating Five」は何かと思って調べてみたら、破綻したリンカーン貯蓄貸付組合(S&L)のスキャンダルに関係して上院倫理委員会の審理にかけられた議員5人を指したもの。Keating(キーティング)は、このS&Lの親会社の元会長でオーナーで、破綻後、詐欺と組織犯罪法違反で告発された人。5人の議員は民主党4人で、共和党1人。そのひとりの共和党上院議員がマケインだった。この問題山積のS&Lをみていた監督官庁に議員が圧力をかけたのではないかということで倫理委員会にかけられたわけだが、マケインはジョン・グレン議員とともに委員会では告発されずに終わった。オバマも古傷を蒸し返そうとしているわけで、こんなことが続いていくと、泥仕合になってしまう。
 民主党にすれば、共和党の中傷攻撃に中途半端な態度を示すと、ブッシュにやられたように負けてしまうという意識が強いだろうから、こうした反撃を打つのか。目には目を、歯には歯を、なんだろうか。まあ、マケインが議会の審理では白であったとしても、金融機関と“倫理的に不適切な関係”にあったことも確かだろうから、現在の金融危機の時代には攻撃したくなるのもわかるけど・・・。でも、節度を持たないと、泥仕合になってしまうなあ。