マケインは正気と失っていなかった。正気を失っているのは・・・

McCain passed his wireless microphone to one woman who said, "I can't trust Obama. I have read about him and he’s not he's not uh--he's an Arab. He's not--" before McCain retook the microphone and replied:
"No, ma'am," the Arizona senator assured. "He's a decent family man [and] citizen that I just happen to have disagreements with on fundamental issues and that's what this campaign's all about. He's not [an Arab]."

 共和党の大統領候補、マケインの集会で、ある女性がオバマのことを「信用できない。彼はアラブ人でしょ」。共和党右派のネガティブ・キャンペーンの極端な虚偽情報を信じ込んだ人なのだが、これにマケインは乗らず、オバマは立派な家族を大事にする人間であり、(米国)市民であると諭した。オバマを擁護したことで、会場ではブーイングを浴びたみたいだが、大統領選で追い詰めながらも、マケインはまだ正気を失っていなかった。
 オバマはもともとネガティブ・キャンペーンには一線を画していたのだが、ペイリンを副大統領候補に選んだあたりから、共和党の主流派ともいえる宗教色の強い頑なな右派に近寄るようになった。そこから選挙戦にも節度を失ってきた感じがしたのだが、今回は踏みとどまった。マケインの体質はもともと頑迷な共和党右派とは一線を画したところにあったのではないんだろうか。もっと超党派的な人なのかも。ペイリンを選んだことは、マスコミの目を引きつける点では正解だったのかもしれないが、その結果、大切なものを失ってしまった気も。
 さらに驚くのは、このニュースをフォローしたCNN記者のリポートだと、この女性は、マケインの発言があっても、オバマはアラブ人だと信じ込んでいたという。集会参加者のオバマ攻撃を見ていると、ちょっとKKKの集会みたいな感じも見え隠れする。やや正気を失っている感じがして、かえって中道派、非白人層をマケインから遠のかせてしまうのではないか、という気もしてくる。それとも、反オバマのエキセントリックな発言は白人の深層心理に訴えるものがあるのだろうか。