平林靖敏「東京まちかど伝説」

東京まちかど伝説

東京まちかど伝説

 2000年1月から2005年4月まで東京の街角を撮した写真集。サンケイ新聞社写真部を2000年に退社した平林氏が東京23区をくまぬく歩き回って20世紀末から21世紀初頭の東京を記録した。巻末に「谷中・根津・千駄木」編集長の森まゆみ氏と平林氏の対談があり、これを読みながら、もう一度、写真を読み直していくと、撮影時の状況がわかり、楽しい。最初に写真を見て、さらに対談を読みながら写真を見ると、二度楽しめるところがうれしい。
 しかし、モノクロで撮影された東京を見ていると、なんだか、とてもレトロな感じがする。写真の下についた日付を見ると、2000年であったり、2005年であったりするのが、すごく不思議。2000年は8年前なのに、写っている風景は遠い過去のような気がするし、写っている人もどこか昔の人のよう。不思議な写真集。新橋駅とか、永代橋とか、正月の銀座とか、人が写っていない風景がまた不思議(対談を読むと、偶然らしいのだが)。面白い写真集だった。