黒澤明・
三船敏郎の名作「
椿三十郎」を、
森田芳光監督、
織田裕二、
豊川悦司主演でリメイク。原作の脚本をそのまま使ったというのが売りになっていたりするのだが、やはりリメイクは難しい。見ていると、これってパロディという感じになってしまう。フジテレビの「
新春かくし芸大会」のドラマ編みたいな感じも。前作をなぞるのならば、徹底的になぞれればいいのだが・・・。「用心棒」「
椿三十郎」と
三船敏郎が見せた「二度斬り」(とどめを刺すために相手を二度斬る早業)の殺陣はやはり無理だったようだ。でも、あの殺陣がないと、三十郎の強み、凄味は出てこないなあ。やはり三船はすごかったのだと改めて思う。誰でもできそうに思えるけど、大勢を相手に一人で二度斬りしていくのは神業なんだなあ。ということで、黒沢の演出力、そして三船の演技力を改めて教えてくれる映画。でも、最初に、このリメイク版の「
椿三十郎」を見た人は、これはこれで感動してしまったりするのだろうか。やっぱり、本物の黒沢映画を見て欲しいなあ。かわいそうだけど、前作を見ていると、
豊川悦司よりも仲代達也、
松山ケンイチよりも
加山雄三だなあ。織田も豊川も松山も好きな俳優だけど、比べてしまうとねえ。また、この映画に良い味付けをしている家老夫人も
中村玉緒より
入江たか子、人質も
佐々木蔵之介より
小林桂樹。要するに、黒沢映画の
インパクトの方が強いんだなあ。リメイクは本当に難しい。
【参考】
wikipedia:椿三十郎 (2007年の映画)