1949年と2006年と二度、映画になっている「オール・
ザ・キングス・メン」のモデルになった
ルイジアナ州知事、ヒューイ・ロングの生涯を通じて米国の
ファシズムを考える。ヒューイ・ロングへの興味から読み始めたのだが、
大恐慌下の社会不安が生んだ特異な人物とも言えそう。
ヒトラー、
ムッソリーニを生んだのも、この時代だった。そして、フランクリン・D・
ルーズベルト(ローズベルト)も、強力なリーダシップを持った政治家で、こちらも時代が生んだ政治家だったのかもしれない。ヒューイ・ロングの暴力的な政治を抑止しようとする
ルーズベルトも
守旧派を利用する強権的なものになり、こっちはこっちで民主主義の原則を毀損していく。悪に対抗するうちに悪に飲み込まれ、悪が蔓延していく。そんな感じ。あまり知らなかった歴史なので、興味深く読んだ。一方で、当時の経済情勢について、もう少し触れて欲しかった。どのような経済情勢、社会情勢の中で、こうした政治が生まれきたのか、政治、経済、社会という生態系で、この時代を知りたかった。