宇沢弘文「社会的共通資本」
- 作者: 宇沢弘文
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/11/20
- メディア: 新書
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社会的共通資本は、一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置を意味する。
ということになる。そして、「自然環境、社会的インフラストラクチャー、制度資本の3つの大きな範疇にわけて考えることができる」という。で、この本では、「農業」「都市」「教育」「金融」「地球環境(地球温暖化)」をとりあげている。いずれも現在、問題が深刻化している分野だ。ただ、新書という性格もあって、各章はガイダンスといった感じ。もっと勉強するには、それぞれの分野の専門書を読む必要があるんだろうな。
しかし、これを読んでいると、かつて「ケインズを超えて」が合い言葉だった経済学が今は「反ケインズを超えて」という領域に入ってきた感じがするなあ。米国も、反ニューディールのレーガニズムから、オバマの時代に入り、「反ニューディール」を超えて「ニュー・ニューディール」の時代に入ろうとしている。そんな時代、「社会的共通資本」という概念は重要性を増してくるのかも。