「
パンズ・ラビリンス」を見て、内戦以降のスペインの歴史に興味を持ち、読んでみる。
1920年代の
フランコの台頭から
民主化された1992年まで駆け足で、スペインの歴史を振り返る。新書だから仕方がないのだろうが、この薄さで波瀾万丈の歴史を語るわけだから、教科書的に駆け足で概観することになってしまう。結果、今ひとつ、しっくり頭に入ってこない。
フランコはドイツやイタリアの力を借りて内戦に勝つのだが、伝統的な
保守主義・
権威主義で、
ファシズム革命とは一線を画し、それがために第二次大戦では枢軸国側に入らず、戦後は連合国の批判を浴びつつも、冷戦構造の中で反共勢力として生き残る。なぜ、
フランコが1975年の死に至るまで権力を保持したのか、その秘密はそんなところにあった様子。また、
民主化に当たってファン・カルロス国王が果たした役割も大きかった。まさに
立憲君主制の下での
民主化だったのだなあ。このあたり、もっと良く知るためには、むしろ、
フランコやファン・カルロス国王の伝記を読んでほうがわかりやすのかな、とも思う。
で、読んでいて、ひとつ、へえっと思ったのは、スペインでは、1983年に、人工妊娠中絶の限定的許可が実現されていたこと。
カトリック教会は当然、反対したらしいが、米国でさえ大もめなのに、スペインで認められているとは、やはり欧州は柔軟なんだなあ。