赤瀬川原平「千利休ーー無言の前衛」

千利休―無言の前衛 (岩波新書)

千利休―無言の前衛 (岩波新書)

利休にたずねよ 突如、千利休が気になり、読み始める。赤瀬川原平の本だから、岩波新書ではあっても、単純に利休の生涯をなぞっていくということはなく、むしろ極私的利休芸術論。切腹をもって終わる利休、織部と、その後の様式美となった茶道とでは、前衛と大衆芸術の違いがあるという感じ。徹底的に一期一会、一度きりのその場のパフォーマンスが利休の茶だったのだろうか。豊臣秀吉との関係やら、他力思想の話なら、赤瀬川節で刺激的だった。読後感からいうと、タイトルは「無言の前衛ーー千利休」といったほうがいいかもしれない。
 しかし、利休って、これからブームになるのだろうか。たまたま何となく頭に「利休」という名前が浮かんだんだが、「PEN」の次号(2月15日号)の特集は「日本初のクリエイティブ・ディレクター 千利休の功罪」だし、先日発表になった直木賞山本兼一利休にたずねよ」だし。自分でもわからないんだけど、何でみんな、いま利休に関心を持つんだろう。