あずさ監査法人IFRS本部編「なるほど図解 IFRSのしくみ」
- 作者: あずさ監査法人IFRS本部
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 2009/02
- メディア: 単行本
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米国基準のルールベース(rules-based)に対してIFRSは原則主義(principles-based)であり、細則についてはIFRIC以外、あまり詳細なルールはありません。
う〜ん。
実務上は、財務諸表作成者と監査人の判断に負うところが大きくなり、実務上の判断基準や重要性などのガイドラインが必要とされています。
経理と監査法人とで揉めそうだなあ。加えて、子会社も同じ基準にすることが求められるとか、実務上は相当、煩雑になりそう。加えて、会計思想上の転換もある。会計は結局のところ、どのような物差しで企業の実態を捉えることが適切か、その最適解を求め、時代の要請とともに変わっていくと思うのだが、IFRSでは、企業を「収益費用アプローチ」から「資産負債アプローチ」で捉えようとするのだという。
IFRSでは貸借対照表を重視しているために、資産および負債の各項目について原則として時価評価をして、期首と期末の差額および期中の勘定について、包括利益という概念で捉えようとしています。(中略)考え方としては、実現したものは純利益の一部を構成し、未実現の部分がその他の包括利益として資本の部を構成することになります。
なるほどねえ。で、
包括利益とは、当期純利益に「その他の包括利益」を加えたものです。その他の包括利益は、為替換算調整、有価証券の評価差額、ヘッジの評価差額などが含まれます。
このあたり簿価・含み益好きの日本企業からは反発を浴びるんだろうなあ。でも、親会社と子会社の決戦期のずれを3カ月しか認めないとか、決算操作の仕組みにもなりかねない部分を制度的に潰して回っているところもある。やっぱり会計は生き物で、サブプライム問題の反省も加えつつ、現代企業の問題に対応しようとしているんだなあ。企業経営が進化(巧妙化?)していくのと合わせ、会計も進化していかざるを得ないんだろうなあ。グローバル経営には、国際会計基準で対応するしかないわけだし。
全体像をしっかりと理解するには、もっと専門的な本を読まなければいけないのだろうが、入門編としては良かった。でも、改めて、これに対応しようとすると、実務的には大変そうだなあ。