山形浩生「コンピュータのきもち」
- 作者: 山形浩生
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2002/09/18
- メディア: 単行本
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何でも自由に配布していいことにすると、作るほうの人が苦労して新しい知的な財産を作らなくなるだろう、という心配がある。見返りがなければだれも新しい発明や、新しい小説や、新しい音楽や映画を作らないだろう。それでは困るので、一時的に限られた独占権を認めることで、発明家や開発者やアーティストたちにいろんなものをどんどん作ってもらおう。そのための独占権が、著作権というものだ。
だからそれは、完全な独占権を認めるものじゃない。一時的、部分的な独占を認めるもので、いずれ自由にそれは流通させてもらうよ、というのが基本的な前提となっている。そしてその権利の範囲も、無制限じゃない。それは開発者たちや作者たちが、次の作品を作り出すだけのやる気が出る程度に認めるべきものだ。それ以上著作権の範囲を拡げることは、そもそも自由に流通して万人に使ってもらうべき人類全体の財産、という知的財産の根本的な性質を妨げるものだ、ということだ。新しいものが生み出される程度に、ほどほどに認めればいいし、それだって一時的なものすぎない。
これなんか、山形浩生が翻訳した「人でなしの経済理論」のフェアユース論に通じるものがあるなあ。インターネットのWWW自体、知的財産の共有を目的に生まれたものだしなあ。でも、「YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page」の著書リストを見ると、2007年に、この本が新書化されたときには「著作権」の部分は削除したという。う〜ん。これは一つの考え方ではあるんだけど、やっぱり、ここは出版社から見れば、刺激的過ぎたのかもなあ。
・YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page 著訳書リスト
http://cruel.org/books/books.html