東京都写真美術館編「昭和の風景」
- 作者: 東京都写真美術館
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/04/01
- メディア: 単行本
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菊池俊吉の「浮浪者収容所施設の栄養失調児」は、浮浪児の正面と後ろ姿を撮影したものだが、衝撃的。「火垂るの墓」「アメリカひじき」など野坂昭如の小説を思い出す。林忠彦の「太宰治」や「坂口安吾」は有名な写真だが、人物写真として秀逸。「作家!」という感じ。細江英公が三島由紀夫を撮った「薔薇刑」、篠山紀信の「カルメン・マキ」もいい。人物が時代を象徴するが、その人物と時代を写真に焼き付けるのは、やっぱりカメラマンの力量だなあ。佐藤明の「おんな(岸恵子)」は、岸恵子らしく洗練されたポートレイト。財界人や政治家の写真もある。しかし、松下幸之助、土光敏夫、佐藤栄作、田中角栄、みんな風格があったなあ。で、ちょっと、びっくりは細江英公の「澁澤龍彦、作家」。若い!澁澤というと、サングラスという感じなのだが、素顔。若いときは、こんなだったのかあ。で、ほのぼのは、山端庸介の「防空壕に避難して助かった女性」。廃墟にある防空壕の穴から顔を出した女性の笑顔がいい。