チェーホフ「桜の園」

桜の園 (岩波文庫)

桜の園 (岩波文庫)

 名作として知っていて、粗筋も知っていて、あたかも読んだことがあるように語るんだけど、読んだことがない本というのがある。この本もそれ。没落する階級と、時代の変化から生まれた新興階級の交錯。どの国、どの時代にもある。そんな一場面を描く。いつでも通じるテーマだなあ。露西亜でも、ソ連でも、ロシアでも時代が変わるごとに繰り返される。チェーホフは「四幕のコメディ」と書いている。人生はコメディかあ。国家の興亡も、階級の興亡も、コメディかもなあ。