上山信一「自治体改革の突破口」

自治体改革の突破口

自治体改革の突破口

 国政が今のような状態だと、なおさら、そう思うのかもしれないけど、日本改革の突破口は都道府県、市町村など自治体にあるのかもしれない。こうした本を読むと、なおさら、そう思う。大阪府にしても、滋賀県にしても、いろいろな動きが出ているんだなあ。加えて、ロジカルに整理されているので、自治体行政を考える視点の整理にもなる。例えば、情報公開。

 自治体の情報公開には三つの段階がある。第一段階は、市民からの請求を受けて情報を開示する古典的なもの。第二段階は個別具体的な事務・事業について普段から積極的に市民向けに情報公開をする。第三段階は市民だけでなく金融機関など幅広いステークホルダーに向けて財務状況と将来ビジョンを発信する。

 なるほどねえ。行政の暴走を防ぐ抑止力として効果があるのは、情報公開だろうなあ。情報公開が進み、透明度を増すほど、変なことはできなくなるし。NPOを生かすための五つの提案というのもある。

(1)外郭団体の地域NPO法人
(2)公務員のNPO法人化への再就職促進
(3)行政業務の本格的アウトソーシング
(4)外注管理の集積化
(5)域内のボランティア力の開発

 こちらもなるほど。「関西EU説」というのもあった。大阪はドイツ、京都はフランス、兵庫は英国、奈良がスイスで、和歌山はスペイン、滋賀はベルギー、三重はイタリア。で、街で言うと、大津はブリュッセルで、伊勢はバチカンとなる。これも面白い発想。
 地方が現在の経済環境の中で苦境にあるのは確かだが、その一方で、改革の担い手でもある。この本を読んでいると、まだ何とかなるんじゃないかと元気が出てくる。