外山滋比古「思考の整理学」

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

 知的生産論の古典のひとつ。朝型生活、スクラップの袋(大型封筒)整理方式、カードとノートの使い方などが紹介されている。3色のサインペンで読む本というところもある。

 赤、青、黄などのサインペンを用意して、自分の考えと同じものは青、反対趣旨のところは赤線、新しい知識を提供してくれるところは黄の線をひいておくというようにすると、一見して、どういう性格の部分であるかがわかって便利である。もっとも、これは自分の本で、しかも、本としての価値を義性にしてよいと決心できたときにかぎって実行できる方法である。

 なるほど。「手帖とノート」という章もある。アイデアを生かすためには、ともあれ、まず手帖に何でもメモする。そして一度、寝かせた上で、まだ脈のあるものを別のノートに見出しを立てて整理して書き写す。アイデアをメモした日付も、ノートに書き写した日も日付を入れておくんだという。そうしたノートの中から、さらに脈のあるものを別のノートに写す。これがメタ・ノート。時間をかけてアイデアを二度濾過して、編集するということらしい。ノートのメモには番号をつける。パソコンが登場して情報整理には便利になったけど、アイデアを俯瞰し、生かすには、ノートの方が便利かもしれないなあ。
 最後に文章上達の秘訣3カ条として紹介されているのは、

 看多(多くの本を読むこと)、做多(きた:多く文章を作ること)、商量多(多く工夫し、推敲すること)

 これも、昔いわれていることだが、その通りだなあ。