勝間和代『勝間式「利益の方程式』
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/04/04
- メディア: 単行本
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利益=(顧客当たり単価ー顧客当たり獲得コストー顧客当たり原価)×顧客数
かなり単純化されているが、かえって、やるべきことが明確に浮かび上がってくる。で、原則は4つ
原則1
顧客単価を1円でもバカにせず、コツコツと引き上げ、戦略のない値下げはしない
原則2
しっかりと顧客獲得コストを計算して、口コミ等、なるべく顧客獲得コストが安くなるチャネル・方法を活用する
原則3
コスト改善を地道に行って、かけるべきところにはコストをかけながら、全体コストを引き下げる
原則4
顧客の普及率に伴ったステージを意識し、市場と対話をしながら、施策のメリハリをつける
ということになる。そして、この原則の各論が展開される。
例えば
顧客原価で大事なことは、むやみやたらにケチるのではなく、顧客が価値を感じるところには必要なコストをかけ、そうでないところは徹底してコストを省く、というメリハリをつけること
つい10%カットとか、数値だけが一人歩きして、一律削減になってしまうんだけどねえ。その結果、売り上げも落とすことになってしまうと言うのは、よくあること。こんなところもある。
気をつけたいのは潜在市場の顧客数は有限である、ということ
これも、つい忘れてしまいがち。こんな一節もある。
成功というのは、成功するまで仮説→実行→検証を繰り返すこと
よく「成功とは、成功するまで、やり続けること」と言う人がいるが、ただ、やり続けているだけでは、出血続きの失血死ということになってしまうわけで、根性だけで物事がうまく行くわけでもない。勝間式格言のほうが当たっている感じがする。PDCAを回し続ける根性が大切ということだなあ。こちらは納得感がある。
また、このところの競争激化で値引き要請も厳しいわけだが、
顧客が値引きを要求したら、必ず、ふだんだったら付けていたオプションを削る、提供内容を少なくするという形で、値引き後のトレードオフを示して、支払う価値を感じさせます。
そうだなあ。そうしないと、譲歩を迫られるだけになってしまうし。加えて、成功報酬を組み合わせるとか、分割払いなど支払い方式を工夫するとか、さらに具体的な方策が提示されている。
原価では、「3つの過剰」が指摘されている。「過剰な品質」「過剰な設備投資」「過剰な人件費」。で、こんな指摘がある。
日本では社員一人ひとりが「リターンを最大化」するのではなく、「リスクを最小化」するように行動する傾向がある
これも当たっているかも。こんな指摘もある。
儲からない仕事、時間単価が低い仕事をたくさんしなければならないからこそ、仕事の時間が長くなります
さらに
人を雇って余剰人員が出たりするとやっかいなことに、多くの人は暇だと耐えられないので、顧客の価値にならない仕事を勝手に自己増殖的に作っていってしまうのです。成長企業が対応が早いのは、業務拡大のスピードに人が足りないため、意思決定も何もかも、非常に単純化されていてある意味、仕事が自己増殖する暇がないためです。
う〜ん。耳が痛い。長時間労働を防ぐ秘訣は、「儲からない仕事を辞めること」だという。ともあれ、参考文献として提示された本も読んでみたくなるし、なるほど、これが勝間本が受ける理由かと思う。