渚にて

 核戦争後の世界を描いたSF反戦映画の古典。静かに迫ってくる放射能の恐怖を描くのだが、どちらかというと生物化学戦争の後の世界のよう。都市はそのままで人間だけが死に絶えていく(中性子爆弾的世界か)。この頃はまだ、「核の冬」という概念はまだなかったのだなあ。燦々たる太陽の下で、放射能による死が忍び寄ってくると言うのも不気味だが、「核の冬」は、もっと陰鬱な感じなんだなあ。そう考えると、これでは美し過ぎるのかもしれない。先日、テレビでアニメ映画の「風が吹くとき」を放映していたが、あちらのほうが核戦争後のイメージかもしれない。ただ、この映画が製作されたのは1959年。「風が吹くとき」は1982年の製作。時代背景の違いもあるけどなあ。