東洋宮武が覗いた時代

DVD>東洋宮武が覗いた時代 撮った。生きた。戦った。 (<DVD>)

DVD>東洋宮武が覗いた時代 撮った。生きた。戦った。 ()

 第2次世界大戦開戦に伴い、米国政府は日系米国人を強制的に収容所に入れた。宮武東洋は、ロサンゼルスのリトル東京在住の写真家で、大戦時はマンザナ(マンザナール)収容所に密かにレンズを持ち込み、カメラを自作、収容所の日常を写真に記録した。のちには、所長“公認”で、写真を撮るようになる。収容所の写真は米国人カメラマンも撮影しているが、取材規制は厳しく、日系人の目で、この時代を記録した人は宮武ぐらいだった。この映画は、宮武を通じて、収容所と日系人を描く。従軍をめぐる1世と2世の対立。422連隊や100大隊といった日系2世部隊の活躍だけではなく、従軍を拒否した反戦派の人も取り上げる。ほとんどの人が、収容も、徴兵(従軍)も「仕方がない」と受け止める中、差別の理不尽さを主張し、従軍を拒否した人たちは、戦後は非愛国的(非米国的?)として日系人からも否定されるという過酷な運命を歩む。「仕方がない」というのは、どうも日本的な感覚らしく、日系人の人たちは英語で話す中で、この部分だけ「shikata ga nai」と日本語そのままに言う。「東洋宮武」よりも、むしろ「覗いた時代」に重点が置かれたドキュメンタリー映画
 で、宮武の撮影したマンザナ収容所の日系人の表情は明るく、その風景は美しい。美しいのだが、バックにある山々の稜線の美しさと、その前景にある荒れ地に並ぶ強制収容所バラックの寒々しさのアンバランスさが、日系人たちの運命の理不尽さを雄弁に語る。写真は時代を描くし、心象風景までをも描き出すなあ。
【参考】
・オフィシャルサイト
 http://www.toyoscamera.com/
・宮武東洋を「ウィキペディア」で見ると
 wikipedia:宮武東洋