ダークナイト

ダークナイト [DVD]

ダークナイト [DVD]

 クリスチャン・ベール主演、クリストファー・ノーラン監督の「バットマン」シリーズの第2作。この映画の撮影中に急逝したヒース・レジャーアカデミー賞をはじめ、この年の助演男優賞を総なめして話題になったが、娯楽映画らしからぬ重い映画。犯罪と暴力と倫理をめぐる物語。反社会と非社会の物語ともいえる。反社会勢力はマフィアにしても、既存の社会を前提に存在している。しかし、その社会の枠を超えてしまった非社会的存在は社会にとっても、反社会以上に恐ろしい怪物になっていく。コミュニケーションが成立しないわけだから。そうした非社会的存在の恐怖を描く。観客の予想を裏切って展開するエンターテイメントであると同時に、単純なカタルシスとはいえない複雑な結末。このあたり、やはり「メメント」の監督なんだなあ。エンターテインメントをつくりながら、インディース感覚というか、アートの味わいがある。
 「サンキュー・スモーキング」に出ていたアーロン・エッカートが、ベール、レジャーに続く第3の主役。助演陣は、マイケル・ケイン(しかし、どんな映画でも出る人だなあ)、モーガン・フリーマン(いつも良い人)、ゲイリー・オールドマン(枯れてきたなあ。昔は行っちゃっている役が多かったけど)と、演技力のしっかりした人たちばかりで気持ちがいい。レイチェル役のケイティ・ホームズからマギー・ギレンホールに代わったが、もうひとつ華がない感じも。ティム・バートンの「バットマン」シリーズは、ヒロインがキム・ベイジンガー、ミシェル・ファイファーニコール・キッドマンとゴージャスな女優陣だった。しかし、このあたりは、ノーランの趣味じゃないんだろうなあ。ともあれ、最後まで見ると、なぜタイトルが「The Dark Knight」なのか、わかる。
オフィシャルサイト
 http://wwws.warnerbros.co.jp/thedarkknight/
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