工藤欣弥、寺嶋弘道「三岸好太郎ーー夭折のモダニスト」

三岸好太郎―夭折のモダニスト (ミュージアム新書)

三岸好太郎―夭折のモダニスト (ミュージアム新書)

 北海道立近代美術館ミュージアム新書の1冊。新書だが、三岸好太郎の作品の図版が豊富で、つい手にとってしまう。画風が目まぐるしく変わっていた人だというが、確かに時期によって絵が違う。しかし、その中でも個人的に好きなのは、道化師シリーズ。表紙にもなっているが、これが三岸好太郎を代表するモチーフになっている。風景画もいいし、抽象画も見せる。晩年(といっても31歳で死んだ人だが)の貝と蝶をモチーフにした一連の絵もいい。もっと生きていたら、どんな画家になったのだろう。というよりも、むしろ生き急いだような人だから、これほど激しく変化を続けたのだろうか。新書のメーンは評伝なのだが、三岸節子との夫婦関係や、音楽家の女性との関係などについてはあまり触れられてなかった。
北海道立三岸好太郎美術館
 http://www.dokyoi.pref.hokkaido.jp/hk-mikmu/