ダグラス・C・メリル&ジェイムズ・A・マーティン「グーグル時代の情報整理術」

グーグル時代の情報整理術 (ハヤカワ新書juice)

グーグル時代の情報整理術 (ハヤカワ新書juice)

 グーグルの元CIOが語るクラウド環境を活用した実践的情報整理術。Gメールなどのツールの活用法がわかりやすく紹介され、最後にはお勧めツール一覧も掲載されている。デジタルに偏るわけでもなく、明細書などは納税時の利便性を考えて紙がいいというし、筆者自身、メモはモレスキンのノートを利用しているという。ノートのほうがすぐに書けるし、ノートパソコンのように大仰でもない(iPhoneは情報の閲覧に適しているが、入力は不便という)。もっとも会議はノートパソコンに記録をとっているという(しかも、Googleドキュメント)。こうしろ、と決めつけるのではなく、個々人のニーズ、環境、性格に合わせて、自分自身の整理法を考えるように、というのも好感が持てる。グーグルの検索にしても、知らないテクニックもあり、結構、参考になった。筆者は、MaciPhoneを利用しているらしいが、お勧めツールでも、GメールやDropboxなど自分も愛用しているものが多かった。ブラウザーは、Firefoxを最も推奨している(この本の執筆時にはまだ、Mac版のChromeは出ていなかったらしい)。みんな同じようなサービスを使っているのだな。To Doリストでは「Things」が推奨され、Macのデスクトップ検索では「Quicksilver」がいいというが、こうしたツールは知らなかった。試してみるか。住所録では「MobileMe」が紹介されているが、iPhoneMacの住所録の同期のために、年9800円というのは、ちょっと抵抗があるなあ。
 で、ノートパソコンについて、こんな記述がある。

 私のノートパソコンには、ウェブ・ブラウザー、オペレーティング・システム、数枚のクールなステッカー以外は、何もないのだ。

 Googleドキュメントだけで十分。文書はクラウド上に保管すればいいという。原稿など、履歴を残したい場合には、ワードを使うが、議事録などはGoogleドキュメントで十分という。なるほどねえ。これがノートの使い方かも。実際、いま、自分が持っているノートもほぼ同じ状態だ。パソコンの使い方が変わってくるなあ。
 クラウド的な利用になると、問題はセキュリティだが、そうしたことを配慮して、パスワードの設定・管理方法についてコラムがあり、これがまた参考になる。