ハーヴェイ・ミルク

ハーヴェイ・ミルク [コレクターズ・エディション] [DVD]

ハーヴェイ・ミルク [コレクターズ・エディション] [DVD]

 ショーン・ペンがアカデミー主演男優賞をとった「ミルク」は、サンフランシスコ市の政治家で暗殺されたハーヴェイ・ミルクの半生を描いたものだが、こちらは、その本人、ミルクのドキュメンタリー。ユダヤ人でゲイという差別のうえに差別が重なった人だが、なぜ多くの支持者を集め、愛されたかというと、ゲイだけではなく、黒人、アジア系などのマイノリティをはじめ、シニア、労働者など虐げられた人々の側に常に立ち、戦っていたからだった。この映画を見て納得。加えて、明るいということがポイントだったのだろう。一方で、暗殺者のダン・ホワイトも出てくるが、こちらは絵に書いたようなグッドボーイ。身だしなみはよく、清潔で好青年。それが壊れていってしまい、市長とミルクの暗殺に走るのだが、その経緯は映画を見ていても、よくわからなかった。ミルクと同じ市政執行委員で、その職を突然辞め、さらにまた翻意。再任にミルクが反対、市長も再任しなかったことを恨んだようだが、もともとの、なぜ突然辞めたのか、その理由もよくわからない。出所後、自殺するところを見ると、どこか精神的な問題を抱えていたのだろうか。
 ミルクが暗殺されたあとの追悼集会は、ミルクの精神が引き継がれ、通りを埋め尽くす群衆が参加しながら、整然と行われた。しかし、暗殺犯が白人たちだけの陪審員の裁判で微罪に終わると、抗議の群衆は暴徒と化してしまう。ミルクの暗殺は1978年。過渡期だったのだなあ。