メアリー・バフェット&デビッド・クラーク「バフェットの財務諸表を読む力」
史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力 大不況でも投資で勝ち抜く58のルール
- 作者: メアリー・バフェット,デビッド・クラーク,峯村利哉
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2009/03/19
- メディア: 単行本
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第一は、他にはないユニークな製品を売っている会社。第二は、他にはないユニークなサービスを売っている会社。第三は、一般大衆からの安定した需要がある製品もしくはサービスを、低コストで仕入れて低コストで売っている会社だ。
そりゃ、そうだ。加えて、一貫性。
一貫して高い粗利益率を保持しているか? 一貫して負債をゼロに、もしくは低水準に保っているか? 一貫して研究開発投資の必要性を低く保っているか? 一貫して収益をあげつづけているか? 一貫して収益の成長を保っているか?
利益の振れが大きな会社は、長期投資には向かないというわけね。これまた当然だが、問題はどう見つけるか。それは財務データを地道に読んでいくんだという。こんなバフェットの言葉が紹介さている。
「『プレイボーイ』を読む連中もいるが、わたしは年次報告書を読む」
優良企業を発掘するためには財務データを調べる必要がある。しかし、それもいまや難しい話ではない。筆者は、ブルームバーグのような専門情報サービスを使わなくても、普通の個人投資家ならば、「Yahoo! ファイナンス」程度で必要な情報は手に入るという。確かに。それに最近は、企業のIR情報も充実しているし。
この本には「大不況でも投資で勝ち抜く58のルール」という副題がついているが、その中から、いくつか書くと。
利益そのものの数字より、「利益の源がどこにあるか」ということのほうが重要なのだ
全く当たり前の話なのだが、意外と忘れてしまいがちなのも確か。プラスか、マイナスか。あるいは増益率、PER、1株利益などの数字を他企業との比較だけで考えて、その中身を考えないときがある。
で、競争優位として注目されるのは「粗利益率」。これが一貫して高水準を保っているか。一方で、営業経費は、研究開発費であっても、厳しい目を向ける。研究開発比率が高いということは反面で、それだけ技術競争の激しい分野で、競争優位が崩れやすい分野と読み解くらしい。そして、販売費・一般管理費の抑制は重要で、粗利益との比較で、これまた一貫して低いことが永続的競争優位を保っている企業の条件という。EBITDA(利払・税引・減価償却、その他償却前利益)には否定的。設備は当然、更新が必要になるわけで、更新投資の必要性を考えれば、償却費はコストとして考え、それを消化して高水準の利益をあげていないとおかしいという考え。これまた納得。法人所得をもとに法人税率から理論上の税前利益を割り戻し、企業会計上の利益の公表値が適正かどうか、判定するなどと言うテクニックも紹介されている。
一方、金融危機の2008年に書かれた本でもあるだけに、「大不況期に現金は最大の武器」と説く。ただ、持っている現金が、事業によって稼ぎ出されたものか、資産売却などによってもたらせたものかを評価する必要があるとも言う。一方、流動比率には、あまり重きを置かない。超優良企業の場合、現実を見ると、流動比率が必ずしも1以上ではないため。あと
長期借入金よりも短期借入金が多い銀行は、投資対象から除外せよ
というのもある。これは長期の投資を短期の資金で転がしている会社への警告。短期資金の調達に詰まれば、即破綻となるのは、前回の金融危機でも見られた。あと、事業会社では
永続競争優位を持つ企業は、ほとんどの場合、長期借入金が少額もしくはゼロである
これっって永続的競争優位企業の収益力を見る一番簡単な手法かも。さらに…
株主資本利益率が高ければ、やがて株価の上昇となって表れる
ROEは重視するんだな。やはり。一方、キャッシュフローのほうでいうと。
永続的競争優位企業は、資本的支出が低くなる傾向にある
設備投資に追われずに済むからだとか。で、ウォーレン・バフェットが見つけた法則は
ウォーレンが看破したのは、年間の資本的支出が純利益の50%以下、という状況を長年にわたって維持してきた企業は、永続的競争優位性の持ち主である可能性が高いということだった。年間の資本的支出が一貫して純利益の25%以下なら、永続的競争優位性からの恩恵を受けていた可能性はさらに高まる。
なるほど。で、基本的に、バフェットのような金持ちは、配当でもらっても税金にとられるだけなので、その分、内部留保して、株式の価値を高めてくれる企業のほうが投資のしがいがあるらしい。う〜ん。金持ちは違う。配当もらえたら、うれしいけど。このあたりがリッチマンとプアマンの分かれ道なんだろうか。