副題に「円・元・ドル・ユーロの同時代史」。通貨は経済問題であると同時に、権力をめぐる政治問題でもある。その視点からブレトンウッズに始まり、最近の
人民元問題に至る。ブレトンウッズは、米国が英国から覇権を簒奪する強い意志に裏打ちされていたんだなあ。経済を絡めて世界を見ること、政治の視点から経済を見ることの重要性と面白さを教えてくれる本。この本が出版されたのは2005年。その後、ユーロは
基軸通貨の座を伺うところまで登りつめながら、
ギリシャ危機をきっかけに通貨に統一した権力が伴わない弱さを露呈してしまった。そして、ドルと
人民元をめぐる問題は今現在の最大のテーマ。先日の
核セキュリティ・サミットでも、米中間の最大の協議事項は通貨問題だった。続編を読みたいなあ。