三岸節子展(日本橋高島屋)

 大ファンの三岸節子の没後10年を記念した企画展。夫の三岸好太郎、息子の黄太郎の作品も展示され、充実した内容。こうして初期の作品から絶筆となった94歳の作品まで並べてあるのを見ると、圧巻。日本にいた時の作品の暗さが、63歳からフランスに移ると、一気に明るく、鮮やかになる。日本の国内にいて、モヤモヤ、ジトジト、閉塞していたものが一気に解放され、いままでのしがらみを吹っ切り、はじけた感じがする。絶筆となった94歳の花の絵も力強いタッチだし、人間、64歳から、しかも30年間も進化し続けることがあるのだな、と改めて感心。もうひとつ、本の図版で想像したのよりも絵が大きかったことも驚きで、三岸のエネルギーを実感した(やはり実物を見ないと駄目なのだな)。大満足の企画展。三岸節子に最初に惚れ込んだ名古屋市美術館所蔵の「雷が来る」も展示されていた。
【参考】主催者である朝日新聞三岸節子展紹介記事
 http://www.asahi.com/event/TKY201003310263.html