ペイルライダー

ペイルライダー [DVD]

ペイルライダー [DVD]

 1985年に製作されたクリント・イーストウッド主演・監督のウェスタン。「アウトロー」(1976年)から9年。この7年後にイーストウッドの最高作「許されざる者」(1992年)が生まれるのか。まさに道程となる作品。こうして見ると、作品の進化がわかるし、「許されざる者」のような善と悪の境界線が曖昧なった世界を描く映画を受け入れる社会ができたのだなあ。「ペイルライダー」は神話的趣きのある映画。善と悪は神話的世界では整然としているということだろうか。今回、気がついたのだが、ペイルライダーって、ヨハネ黙示録に出てくる死の象徴、蒼ざめた馬(Pale Horse)の騎手ということか。どこまでも神話的だったのだ。
 まあ、そうしたワケの分からない感懐は別として、アクション映画として楽しめるし、アクションシーンを含め「アウトロー」の頃よりも映像は洗練されている。共演陣も良くて、キャリー・スノッドグレスは美人ではないけど、好きだ。マイケル・モリアーティはテレビ映画の「ホロコースト」が代表作になるのだろうが、映画ではいまひとつで終わってしまったなあ。悪役のバカ息子を演じていたクリストファー・ペンクリス・ペン)は、ショーン・ペンの弟だけど、最近は見ないなあ。「007」のジョーズ役で有名になる巨人、リチャード・キールも出ていた。
 で、ここまで書いてきて気がついたのだが、「許されざる者」以前のクリント・イーストウッドは、やはりスター俳優で自分ひとりが輝くことにこだわりがあって、ジーン・ハックマンとか、モーガン・フリーマンといった主役もできる名優との共演をしてこなかったんだなあ。良い俳優は使っているが、スーパー助演者とはちょっと違うタイプの俳優を使っている。歳をとって、そうしたくびきから逃れられた時に、映画も一段上の世界に進化したのだなあーーと改めて思ってしまった。
・「Pale Rider」予告編