「海の日」なので、潜水艦映画の古典について考えてみた

 7月の第3月曜日は「海の日」。海というと、なぜか潜水艦が思い浮かび、そこで潜水艦が登場する映画について考えてみた。そこで頭に浮かんできたのが、まずこれ。

 潜水艦といえば、ドイツのUボート。1隻のUボートが出撃してから帰港するまで、勇気、哀しさ、虚しさをリアルに描くドイツ映画。急速潜航するとき乗員が艦首に殺到するところなど、多くの描写がその後の映画に影響を与えている。潜水艦映画で1本と言ったら、これだろう。
 Uボートは潜水艦の代名詞でもあるだけに、これを舞台にした映画は多い。古くはフランス映画の「海の牙」、最近では米国映画の「U-571」がある。「海の牙」は南米への逃避行、「U-571」は米軍がUボートをハイジャックする。
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 次に、これもUボートが主役になる映画ではあるが、潜水艦ハンティングを描いた映画の古典的傑作はこちら。 追う側と追われる側のドラマ。追う駆逐艦と「眼下の敵」である潜水艦の知恵比べがサスペンスを呼ぶ。駆逐艦の艦長がロバート・ミッチャムUボートの艦長がクルト・ユルゲンス。こちらも、この手の好敵手型映画の元祖。「真夏のオリオン」も、この流れの中にあるといってもいいかもしれない。
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 で、あと、いくつの潜水艦映画をパターン別に括ってみると。まずは人類が絶滅の危機に瀕したとき、潜水艦で偵察に行くというパターンがある。生き残るのはだいたい南半球で、「渚にて」では核戦争の死の灰の影響からとりあえず助かったのがオーストラリア(この映画では「死の灰」はウィルスのようで、ちょっと違和感もあるが)、「復活の日」では生物化学兵器の惨禍を免れたのは南極だけということになる。残された人々は潜水艦で残存者がいないか、北半球まで探検に行く。
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 潜水艦といえば、第2次大戦まではドイツだったが、戦後、原子力潜水艦の時代になると、ロシア(旧ソ連)が主役になる。ということで、ソ連の潜水艦ものもテクノスリラー型からセミドキュメンタリータッチまでいろいろある。前者の代表作は「レッド・オクトーバーを追え」。ただ、これは映画よりもトム・クランシーの原作のほうが面白い。「K-19」は、「ハート・ロッカー」でアカデミー監督賞をとったキャスリン・ピグローによるソ連原潜事故を描いたシリアスな映画。一方、コメディではソ連の潜水艦が米国で座礁したら、という「アメリカ上陸作戦」などという映画もあったが、こちらはマイナーだったようで、DVDは販売されていないようだ。
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 最後に、SF映画に出てくる潜水艦というと、ジュール・ベルヌ原作の「海底2万マイル」に登場するノーチラス号と、アーウィン・アレンの「地球の危機」のシービュー号が伝説的なモデルといえるだろうか。日本には「沈黙の艦隊」があるが、こちらはアニメなので割愛。
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 改めて数え上げてみると、潜水艦映画は多い。米国では「深く静かに潜航せよ」とか「クリムゾン・タイド」とか、まだまだ名作・話題作がある。スティーブン・スピルバーグ監督の忘れられたドタバタ映画「1941」では三船敏郎が艦長を演じた帝国海軍潜水艦が出てきた。日本映画にも「ローレライ」とか「出口のない海」とか、いろいろある。
 ウィキペディアには「潜水艦を扱った作品」*1という項目がたっている。それだけ多いということか。