谷口智彦「日本の立ち位置がわかる 国際情勢のレッスン」

日本の立ち位置がわかる国際情勢のレッスン

日本の立ち位置がわかる国際情勢のレッスン

 副題に「バズワードで世界を読む」。ネットメディア「JBpress」で連載されている「Buzzwordで読む世界」の中から記事を集めたもの。掲載後の展開を「補遺」として加筆してある。ネットでも、ときどき読んでいたが、こうして、まとめて読むと、ここ数年の日本、米国、中国の動きを概観することができる。普天間問題に代表される民主党政権の右往左往ぶりも。
 章立ては…

 第1章 「見えない化」する日本
    1. クール・ジャパンの逆説
    2. バフェットと電気自動車の夢またはハッタリ
    3. 日本の「見えない化」
    4. 日米同盟はガラスの置物か
    5. ぐずる日本にアメリカは辟易
 第2章 軍拡で大荒れ・アジアの海
    6. 中国が引き金・地政学の復活
    7. 中国海軍、第一列島線を超える
    8. 海自に衝撃・中国海軍の実力
    9. 北京が欲しがる「真珠の首飾り」と「龍のトンボ」
   10. 欧州危機の軍事的帰結
   11. インドと中国・対外拡張のシンボル
   12. 日本以外みな軍拡
 第3章 「バブリー中国」と「手弱女アメリカ」
   13. バブリーな中国人の自意識
   14. 中国、モルドバを買い占める?
   15. 中国、金を好む
   16. 学生オバマが見た夢・大軍縮会議
   17. 米核戦力は賞味期限切れ?抑止力に不安も
 第4章 ドル・円・元のあり得ない関係
   18. 正三角形の日米中関係?
   19. 海兵隊がお嫌いのようですが
   20. 米国シェールガスと鉱山大学の中国人
   21. アンチ・ドル論の教祖?
   22. ドルを埋葬したい勢力
   23. 米中一体化論のデジャブ
 第5章 羅針盤なき日本----言葉のない政治
   24. 日本における未来予測の不可能性
   25. オバマ演説とスピーチライティング
   26. 小沢一郎という謎
   27. 鳩山氏の浮薄な揺曳感とフルチン・チャーチル

 連載が始まったのは2008年。この2年間が目次に集約されている。米国ではオバマ政権が誕生し、日本も民主党政権への政権交代が実現し、経済では、リーマン・ショックといわれた金融危機ギリシャ危機に端を発したユーロの激震など様々な出来事があったが、やはり最も大きなテーマは中国の台頭だった。超大国としての自我に目覚めた中国とどう付き合っていくのか。また、そのために日本は米国、インドなどと、どのような関係を樹立していくべきか---いろいろな角度から問い掛けてくる。ただ、これらの問題について政治の世界でもメディアでも真摯な議論は行われているようには見えない。この本は、そうした現状に対する問題提起でもある。
 「Buzzwordで読む世界」はいまも連載が続いている。
 http://jbpress.ismedia.jp/category/buzzword