和田秀樹『和田式 超情報整理術』

和田式超情報整理術

和田式超情報整理術

 次から次へと本を出し、多産で知られる和田秀樹氏の情報整理術。エピローグで「わたしがこの本で書いてきたことは、パソコンの扱いに慣れた人にとって、目新しいことではなかったと思います」と書いてあるように、インターネットの時代に焦っているけど、パソコンに苦手意識がある中高年の人向けの情報整理術入門書のように思えた。
 目次で内容を見ると...

プロローグ
 あなたはパソコンに ふり回されていませんか
第1章
 情報化社会こそ 入門書が大切になる
第2章
 夢をかなえてくれる パソコンの「情報整理能力」
第3章
 情報を捨てたとき 「集中力」が生まれる
第4章
 自分のもつすべての情報を パソコンに任せてみよう
第5章
 自分のパソコンを シンプルに使いこなそう
第6章
 メール情報は自分の リズムで整理しよう
エピローグ
 あなたはパソコンの主人です

 「入門書」は小飼弾氏流にいうと「新書」だろう。ここは、そのとおりだと思う。求める情報分野についての知識があるほど、より深く、より効率的に検索をかけられる。
 で、この本の中で「一瞬で消える情報より、何度も読み直せる情報が役に立つ」として、こんな話が紹介されている。

 以前、ある著名な財界人と話す機会がありました。
 かなり高齢の方ですが、話題も豊富で、とくに国際情勢の読みが鋭いのでビックリしてしまい、「何か特別な情報源をおもちですか?」と尋ねたことがあります。
 するとこの人は、「新聞を隅から隅まで読めばわかります」とあっさり答えたのです。

 ここで、もうひとつツッコミを入れてみたくなった。「それって日本の新聞ですか?」。私が会ったことがある「財界人」といわれた人は、90年代ぐらいから、読むのは海外の新聞になってしまった*1。日本語の情報が内向きになってしまったから。それと、財界人といわれる人たちは、大企業に所属し、社内のレポートやら、銀行・証券・取引先の話とか、国内外の新聞の要約が回ってきたりするから、自分で情報を集めて回る人は少数派になる。こうした自分の頭で考える少数派は危機管理に強い戦略家が多い。
 情報を得るという点から言うと、新聞・雑誌が果たしていた役割はかなりネットに代替されてきているが(新聞・雑誌も有料・無料を問わず、ネットでの情報発信に力を入れているし)、それを知識として体系化していくためには、本を読むことが重要だと思う。現代の情報活用法としては、インフォメーションはネット、インテリジェンスは書籍だろうか。

*1:Wall Street Journal」「Financial Times」、あるいは世界情勢を概観するためにNew York Times傘下の「International Herald Tribune」、雑誌だけど「Economist」