日本振興銀行にペイオフ発動へ

金融庁の検査を妨害した疑いで警視庁の強制捜査を受けた日本振興銀行(東京)は10日、2010年9月中間決算で債務超過に陥る恐れがあるとして、自主再建を断念し預金保険法に基づく破綻処理を金融庁に申請した。同庁は振興銀の破綻を認定し、同行に対して10日から12日まですべての業務停止を命じる行政処分を出した。預金の払戻保証額に上限を設けるペイオフを1971年の制度発足以来、初めて実施する方針。

 金融破綻は忘れた頃にやってくるのか。民主党代表選で騒いでいるうちに、気がついてみれば、ペイオフが初めて発動されるような事態になっていた。「預金1000万円」の枠が改めて意識されるようになるんだろうか。昔、金融危機の時代に、預金を引き出して現金を貸し金庫に入れている人たちがいるという話があったが、今はどうなんだろう。もっと違う財産保全をしているんだろうか。この「失われた20年」で、いろいろなことに不感症になってきているから、この話題も1日、2日、テレビ・新聞で騒いだら、それでオシマイかもしれない。
 しかし、振興銀行の主役、木村剛氏は『ペイオフ』という小説を書いていたんだな。いまとなってはブラックユーモアかも。
金融維新―日本振興銀行の挑戦 小説ペイオフ―通貨が堕落するとき (講談社文庫)
 一方、2004年から日本振興銀行社外取締役を務め、この7月から社長になった小畠晴喜氏(作家名・江上剛)には、こんな著作がある。こちらも今となっては皮肉だなあ。危機管理は難しい。
頭取無惨 (講談社文庫) 腐蝕の王国 (小学館文庫) もし顔を見るのも嫌な人間が上司になったら―ビジネスマン危機管理術 (文春新書)