民主党代表選、菅首相が小沢氏に完勝

民主党代表選は14日、臨時党大会で投開票を行い、菅直人首相が小沢一郎前幹事長を破り、再選を果たした。党所属国会議員と党員・サポーター、地方議員による投票で首相は721ポイントを獲得し、小沢氏の491ポイントに大差をつけた。首相は17日にも内閣・党役員人事を実施し、新体制で円高・株安対策や日米同盟強化などの政策を実行する態勢を整える。ただ与党は参院過半数割れしており、党を二分した激しい選挙戦の影響もあり、首相の政権運営は厳しさが避けられない。

 最後の最後で、小沢氏が逆転するのではないかと思ったら、菅首相が完全勝利。国会議員、地方議員、党員・サポーター全てで得票数が小沢氏を上回る。

民主党代表選の結果(敬称略。単位はポイント)
菅 直人721(国会議員票412、地方議員票60、党員・サポーター票249)
小沢一郎491(国会議員票400、地方議員票40、党員・サポーター票 51)

 「剛腕」神話は「神話」だった。これで小沢氏が党資金を握ることはもう難しくなるのかも。今回のような結果になったのは、首相がころころ変わっていいのかという気分、若返りに逆行することへの反発(自民党は党三役を50代にしたし)、田中角栄政治に先祖還りすることへの違和感(田中真紀子と一緒に運動していたし)、2009年のマニュフェストの現実性に対する疑問など、もろもろを考えたうえでの民主党党員たちの判断だったのだろう。ただ、なぜ菅首相かという積極的な理由がないことも確か。
 で、こんな話を聞くと、やはりため息が出る。

民主党代表選での菅直人首相の再選に、予算編成を担当する財務省の官僚からは「8月末提出の概算要求に沿った作業を本格化できる」とひとまず安堵(あんど)の声が広がった。

 菅政権は、官僚主導ではないか、という小沢氏の批判にも一理ある。何でも官僚が悪いというわけではないが、菅首相には何もないから、官僚天国になってしまいかねない不安がある。
 で、官僚主導となると、マーケットも菅首相には冷たい。

14日の東京外国為替市場で円相場は1ドル=83円台前半に上昇した。一時83円09銭と1995年5月31日以来約15年3カ月ぶりの高値を付けた。民主党代表選で菅直人首相が再選され、菅首相より円売り介入に積極的とみられていた小沢一郎前幹事長が敗れたことで、短期筋を中心に円買い・ドル売りが膨らんだ。17時時点では前日の同時点に比べ72銭の円高・ドル安の83円20?23銭近辺で推移している。

 いくら円高が進んでも「菅首相は何にもしないもんね」というのがマーケットのコンセンサスなんだろう。どこまで円高で行けるか、試しているんだろうな。日銀は今回の結果をどう見ているかというと...

民主党代表選で菅直人首相が再選されたことを受けて、日銀は、政府・与党からの金融緩和圧力が強まることを懸念している。積極財政論者だった小沢一郎前幹事長と比べ、財政再建を掲げる菅政権が円高・株安対策で機動的な財政出動を行うのは困難とみられるためだ。ただ、再選が円買い材料になるなど円高の流れを変えるのは難しく、日銀には引き続き難しい金融政策の判断が求められる。

 日銀は怯えてみせるけど、結局、菅政権は日銀に対しても、これまで同様、何もいえず、日銀は日銀でデフレ対策も何もしないから、結局、「円高」というのがマーケットの読みになっているんじゃあるまいか。
 菅首相、本当に大変なのはこれからなのだが、本人が大変と思っているかどうか、わからないところが怖い。
 一方、小沢氏のほうは...

民主党・小沢前幹事長の資金管理団体をめぐる事件で、小沢氏の関係者によると、小沢氏は14日の民主党代表選挙の後、あらためて東京地検特捜部に対し、事情聴取に応じる意向を伝えたという。近日中に日程調整に入る。

 「政治とカネ」の問題から当分抜け出せないなあ。もう、自分は裏方になって「賢者」として生きていけばいいんだろうが、なかなか枯れることができないんだろうなあ。
 ところで、鳩山さんは何をする気なんだろう。引退するはずだったと思うが...