世界エイズデーで思い出した、エイズが登場する3本の映画

 今日12月1日は、WHOが定めた世界エイズデー。そんな暦を見て、エイズが登場する映画を考えてみた。
 まずはフィラデルフィア

 エイズを真正面からとりあげた最初の映画だろう。トム・ハンクスの演技には鬼気迫るものがあった。それまでは、どちらかというと、ドラマでもコメディ的要素のある演技がうまい人という印象だったのだが、この映画で、デンゼル・ワシントンに弁護を断れら、来事務所を出たときの悲しさと絶望の混じり合った表情を見たときに圧倒された。こんなに、すごい演技のできる人だとは、あの場面を見るまで想像もつかなかった。アントニオ・バンデラスがハンクスの恋人役で出ていたり、俳優陣も揃っていた。法廷での静かな戦いから最後の葬儀の静謐さまで、この映画は傑作だと思う。エイズに対する差別という問題提起だけでなく、人間の尊厳を描いているから、いつまでも心に残るのだろう。ブルース・スプリングスティーンが歌う主題歌「ストリーツ・オブ・フィラデルフィア」も良かったし、ラストで流れるニール・ヤングの「フィラデルフィア」が心を打つ。
 で、次がめぐりあう時間たち
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 エド・ハリス演じるニューヨークの作家はエイズにかかり、死期が迫っている。メリル・ストリープとのキスシーンにエド・ハリスの母性に対する甘えと、ストリープのやさしさと思いやりが滲み出る。3つの時代のストーリーが織りなす、この映画も人間を描いた名作だと思う。ただ、「フィラデルフィア」のような社会的な意味でのエイズではなく、文学作品として「死」を象徴する装置としてのエイズというような感じもする。一昔前だったら、結核であっても不思議ではないかもしれない。
 最後にフォレスト・ガンプ
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 映画の中で明確に示されることはないのだが、ジェニーがかかった病はエイズを思わせる。米国の同時代的映画として、時代を象徴する病としてエイズが出てきた感じがする。適切かどうか、議論があるところだろうが、快楽とドラッグの生活の果てに突然姿を現す災危の象徴としてエイズが描かれている感じがする。その意味で、この映画に出ているエイズは時代のシンボルといえるかもしれない。
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