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友人から妻の尾行を頼まれた探偵が次第にその女性を愛してしまうが、女性は自殺してしまう。しばらくたった、ある日、その人妻とそっくりの女性を発見し...というストーリーは、その後、いくつもの映画やテレビのヒントになっている。「裏窓」は、のぞき見(ピーピング)、「めまい」はストーカーと、ヒッチコックはかなりアヤシイ人を主人公にしている。それをジェームズ・スチュワートのような善人の塊のような俳優に演じさせているから、許されているのだろう。シナリオだけ読んだら、当時のハリウッドとしたら、「いかがなものか」という内容だったのではないだろうか。
で、この「めまい」と「裏窓」をもとに発想された映画が、ブライアン・デ・パルマの「ボディ・ダブル」。パルマはヒッチコック好きで知られるが、「ボディ・ダブル」はヒッチコックに対するオマージュそのものの映画だった。「めまい」のヒロインは妖艶なキム・ノバック(ノヴァク)だったが、「ボディ・ダブル」では若い頃のメニー・グリフィスが同じような役回りを演じている。グリフィスはアーサー・ペン監督の「ナイト・ムーブズ」で映画デビューしたものの鳴かず飛ばずだったが、この映画の演技で評価されて注目を浴び、アカデミー主演女優賞にノミネートされた「ワーキング・ガール」の出演へとつながっていく。グリフィスは、ヒッチコックお気に入りの女優のひとり、ティッピ・へドレン(「鳥」「マーニー」の主演女優)の娘だから、これも何かの運命だったのかもしれない。