日本の戦略を考える政治よりも、首相の座を争う政局のほうが楽――現実逃避の日本

筆者が12月半ばに訪れた日本は、半永久的な現実否認に陥っているように見える。東シナ海での中国との対立に危機感を募らせているものの、日本には3年間で5人もの首相がいた。こうした政治のイス取りゲームは、どういうわけか、東アジアの不安定状態に対する戦略的な対応を考えるよりも楽に見えるようだ。

 上の話は、フィナンシャル・タイムズのPhilip Stephens記者による「新たな均衡に向かう世界」という記事の一節(JBpressの翻訳)。痛烈だけど、当たっている。ここ数週間、テレビを見ると、政治家や評論家の皆さんが深刻な顔をして、小沢だ、反小沢だと話しているが、これが一番楽で、楽しい状態なのかも。アジア情勢も財政問題も経済問題も、どれもこれも難題で、全員が笑って満足できる答えは出てこないだろうから、そうした難しい問題から目を背けて、イス取りゲームに走ってしまうのだろうな。「現実否認」というより、これは「逃避」なんだと思う。
 でも、このFTの記事はいいほうで、エコノミストの「グローバル化:希望の再分配」(http://t.co/UlyyWMO)という新年を前にした世界展望の記事には、日本の「に」の字も出てこない。日本が世界から目を背ける一方で、世界は日本が目に入らない。いやはや、いやはや...。
The Financial Times
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