国債が民間預金を上回る金利設定? 国はなりふり構わず民間からカネを集めたい?

財務省は22日、個人向け国債の商品性を見直す方針を決めた。10年物(変動金利型)の金利について、現在の「基準金利マイナス0.8%」から「基準金利×0.66%」に変更。低金利下で民間の預金などより高めの金利が付くようにする。5年物(固定金利型)は発行から2年間は中途換金できないルールを改めて、1年後から換金できるようにする。低迷する個人向けをテコ入れし、金融機関などに偏った保有構造を改める狙いだ。

 日本人は預金好きだけど、銀行は預金を集めても、融資先を満足に見つけられず、国債を買っている。で、国はそれでも満足できないのか、今度は国債金利を高めに設定して、直接、個人からカネを集めようとしているのだという。これって本当は何のためなのだろう。「低迷する個人向けをテコ入れし、金融機関などに偏った保有構造を改める狙いだ」というけど、金融機関が国債を引き受けなくなる日、あるいは、一転して国債売りに出る日が来るとみているのだろうか。民間預金よりも高めの金利設定ということは、10年モノでみれば、民間銀行よりも国の方にリスクが大きいということを認めたのだろうか。
 何としてでも国に民間貯蓄を吸い上げたい。それほどの財政難に陥っているということか。行政改革増税もできず財政再建の道筋も描けず、かくなるうえはクラウンディングアウトになろうがなんだろうが、ともあれ国にカネを集めたいのか。国債金利が上がれば、それに対抗して社債のレートを押し上がるということになるのだろうか。これは金融・経済の生態系に影響を与えるものなのか、それともテクニカルな話なのか...。どうなんだろう。しかし、金利をいじるということはカネの流れを変えようとする意思があるわけで、そうすると当然、生態系にも変化が生じる気がするが...。団塊世代がリタイアし、国民金融資産がピークアウトする中で、民間と国でパイの取り合いをする?
 「金融機関などに偏った保有構造」を改めるって、銀行預金をやめて国債を買いなさいということなんだろうか? 民業圧迫みたいだけど...。それとも、意地悪な言い方をすると、国債保有リスクを銀行から個人に振り替えるということなんだろうか。実際、知り合いに心配性の人がいて、こんな財政状況では国債暴落が起きるんじゃないかと不安になって、持っていた国債をすべて売り払ってしまったけど、そうした不安心理を持っている個人投資家に、リスク・プレミアムを払うことにしたのだろうか。
 マーケットで言えば、国債金利が上がるということは、相場は下落するということ。財務省自ら国債の利回りを上げるということは「保有構造」とか何とかいう以前に、金利を上げなければ思うような調達ができないと思っているということで、今後、国債金利は上がるということか?。となると、休み明けの国際相場は売りから入るということなんだろうか。「国債暴落」本は既にいっぱい出ているが、こうした財務省の行動は不安心理に火をつけたりしないのだろうか。だいたい、本人がプレミアムを払うというのならば、もっと払えと迫るか、プレミアムを払うほど事態は悪いと読むのがマーケットという気がするけど...。
 ともあれ、今朝、新聞を読んでいて、いちばん気になった記事。
国債暴落 (中公新書ラクレ) 国債大暴落の恐怖 日本国債 暴落のシナリオ