朝日のサイトに、こんな記事が出ていた。
エジプトのムバラク大統領は米政府による中東の民主化の失敗をたびたび指摘し、民主化要求を受け入れる余地はない――。民間告発サイト「ウィキリークス」で公開されている米外交公電に、米外交官によるそんな分析があることが分かった。米紙ワシントン・ポストが8日報じた。公電は2009年5月、駐エジプトのスコビー米大使がホワイトハウスあてに送った。ムバラク氏について「過激なイスラム主義を嫌う古典的な世俗主義者」で、最大野党勢力のムスリム同胞団を「国益を損なう最悪の存在」とみている、と分析。「社会の混乱よりも少数の者が苦しむ方がよいと考えている」とし、民主化運動が混乱に発展することを極度に警戒していたという。
ウィキリークスが暴露した外交公電によると、エジプトのムバラク大統領が中東の民主化は失敗すると米国の外交官に語っていたという話。そんな話題も出ていたのだろうな、という類の話のなのだが、「ん」と思うのは「米紙ワシントン・ポストが報じた」という一節。自分で調べたのではないのか...。
ウィキリークスのサイトにある外交公電を自力で調べようと思わないのだろうか。大量の文書だから(しかも英語だから)大変だということはわかるけど、文書は「Secret US Embassy Cables」というタイトルで今でもネット上に公開されている。それがこちら。
http://wikileaks.ch/cablegate.html
国別に情報をピックアップしたコーナーもあって「エジプト」はこちら。
http://wikileaks.ch/Cable-from-Imprisoned-Egyptian.html
個別の外交文書は時系列に並べてあるだけなので大変なのはわかるが、記事になった公電はこちらではないかと思う。
http://wikileaks.ch/cable/2009/05/09CAIRO874.html
素人でさえ、数分でここまで辿りつけるのだから(2009年5月、カイロというポイントとなる情報が分かっての話ではあるが)、プロはもっと真剣に取り組んだほうがいいのでは...。少なくとも米紙を引用するのはちょっと恥ずかしい感じがする。米国の記者と日本の記者のITリテラシーの差なんだろうか。日本の記者のみなさんも頑張ってください。
でも、エジプトをはじめ各国の人たちは自分たちの問題だから必死になって読んでいるんだろうなあ。民主化勢力のほうがITに強そうだし...。ウィキリークスが暴露した外交公電問題、意外と尾を引きそうな気配。