地中美術館は、「自然と人間を考える場所」として、2004年に設立されました。館内にはクロード・モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリアの作品が安藤忠雄設計の建物に恒久設置されています。アーティストと建築家とが互いに構想をぶつけ合いながら作り上げたこの美術館は、建物全体が巨大なサイトスペシフィック・ワークといえるでしょう。
展示物は、モネ、タレル、デ・マリアの作品だけともいえるのだが、それが安藤忠雄氏の建物とコラボレーションした素晴らしい美術館。美術館自体がアート。美術館が建物としてすごくても、中の展示物がプアで、建物に負けてしまっているところもあるが、ここは双方がアートとして活かし合っている。絵画やオブジェを含めた空間自体がアートになる、そんな美術館があるのだな、と改めて感嘆。
特に面白かったのはモネ。後期の作品で、既に目を病み、一時のような色彩はないが、これもまた風情がある。それよりも何よりも、そのモネの作品を活かすために、自然光の間接照明を採り入れるなど、安藤の設計が素晴らしい。正直言って、空間としては、有名なオランジュリー美術館の睡蓮の部屋よりも、こちらのほうが良い。オランジュリーで感じた外連味もなく、静謐で、モネの世界に没入していける。
小ぶりだが、素晴らしい美術館。
★地中美術館(ベネッセアートサイト直島)サイト
http://www.benesse-artsite.jp/chichu/index.html
【やぶしらず通信・関連ログ】
・オランジュリー美術館 Musée de l'Orangerie => http://t.co/SSYntR8
- 作者: 秋元雄史,安藤忠雄ほか
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/11/22
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