道浦母都子『無援の叙情』
- 作者: 道浦母都子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/07/14
- メディア: 文庫
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短歌を通じて感じるのは、この人は基本的に古風な女性だと思う。革命を歌いながらも、家族や結婚、子孫への思いなどの価値観は日本の風土のなかにある。自由な女性というのとも違う。道浦が生まれたのは1947年(昭和22年)、村上春樹は49年(昭和24年)。ともに早稲田大学文学部。同じ頃にキャンパスにいたこともあるのだろうに、ふたりの言語世界も関心も、ずいぶん時代が離れているような印象を受ける。短歌と小説という表現形式の違いなのか、わからないが、ひとことで団塊世代といっても、幅があるのか、ずいぶん違うものだと思う。ただ、印象としては、団塊世代を代表する感性は道浦という感じがする。あの世代は意外と古風なのかもしれない。村上はもっと広く現代の日本人を描く作家という印象で、団塊代表というイメージはない。
ともあれ、短歌集を読むのは初めてだったのだが、短歌の世界に心惹かれる。短歌は心に訴えてくる。ちょっと短歌の本を読んでみようかと思う。