運命のボタン

運命のボタン [DVD]

運命のボタン [DVD]

 ある日、男がやってきて、ボタンのついた箱を前に「このボタンを押せば、どこかで、あなたの知らない誰が死ぬ。しかし、あなたは100万ドルを手にすることができる」という。さあ、あなたなら、どうする。そして、その後に何が起こるのか−−という物語。こうした奇抜な着想の映画の場合、答えはふたつ、最後まで観客を引っ張っていくローラーコースター・ムービーになるか、腰砕けのアリャリャな映画になるか。キャメロン・ディアス主演の、この思わせぶりな映画はさて、どちらか。悲しいことに後者だった。おまけに後味も悪い。これじゃあ、ディアスもかわいそう。
 星新一だったら、もっと面白いオチを付けるだろうし、「世にも奇妙な物語」だったら、15分か20分で決着をつけていただろう。それが延々と続き、しかも、途中から、それはないなよなあ、という展開に。だって、そっちの方へ持っていったら、何でもありだから。なぜ時代を1976年に持っていったのかも、よくわからない(米国人にとっては、この年であることがわかるんだろうか)。相手の目的も不明。テストではあるのだが、このテスト、ナチスアウシュビッツでやっていたようなテストに見えてしまう。それが後味の悪さなのだろう。
運命のボタン (ハヤカワ文庫NV)