オーケストラ!

オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

 30年前の旧ソ連時代、ユダヤ演奏家の追放を拒否したことからボリショイ交響楽団の指揮者の座を追われ、ソ連崩壊後のロシアにもうまく適応できず、劇場の清掃員として働く男がある日、フランスからの来演依頼を見つけ、かつての楽団員を集め、ニセのボリショイ交響楽団をつくり、フランスの若手女性バイオリニストとパリ公演をしようとするが...、という甘く切なく哀しいフランス映画らしいコメディ。チャイコフスキーのバイオリン協奏曲がクライマックスになる。原題は「Le Concert」で、コンサートというタイトルのほうが映画に合っている。
 ソ連の圧政、ロシアの混沌、そしてフランスもかつて共産党のたまり場だったカフェが、ベリーダンスが売り物のトルコ料理店になっていたり、時代の変化を笑いのネタにする。ヒロインのメラニー・ロランはどこかで見たことがある女優さんだと思ったら、「イングロリアス・バスターズ」のフランス女性だった。パリの劇場主の役は「トランスポーター」で、とぼけた味のある刑事を演じていたフランソワ・ベルレアン。そして、メラリー・ロランの育ての親であるマネージャー役で、ミュウ=ミュウが出ていた。枯れて、落ち着いた役を演じる歳になったのだなあ。
善き人のためのソナタ スタンダード・エディション [DVD] グッバイ、レーニン! [DVD] 見ていて何となく、「グッバイ・レーニン」と「善き人のためのソナタ」を思い出してしまった。音楽を素材にしているわけではないし、映画自体に直接の関係はないんだけど、共産党政権時代とその崩壊後の人間模様を描いているので、何となく。で、作品から言うと、「レーニン」と「善き人」のほうが好き。この3つの作品はいずれもドイツの映画。東西に分断されていたドイツのほうが、冷戦時代の重みが頭だけではなく体でわかっており、それが映画にも表出してくるのかもしれない。
★映画『オーケストラ!』公式サイト => http://orchestra.gaga.ne.jp/