盗聴取材事件で批判を浴びるマードック。思い出すのは、007シリーズの、この映画

 ニューズ・グループの総帥でメディア王のルパート・マードックが英日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」の盗聴取材問題で集中砲火を浴びている。盗聴取材だけではなくて、警官の買収、英国政権への影響力、さらにはFOXテレビを通じた米共和党への影響力などにも批判の矛先が向かっている。オーストラリア出身のマードックが、英国や米国の政治に隠然たる勢力を持つことに対する懸念、不快感も見える。で、思い出すのは、この映画。

 ジョナサン・プライス演じるメディア王が中国と英国の間に戦争を起こそうとする。まあ、このあたりは、扇情的なイエロー・ジャーナリズムの元祖、ウィリアム・ランドルフ・ハーストが捏造記事で米国民の反スペイン感情を煽り立て、キューバを舞台に米西戦争を起こした故事をもとに、マードックに重ね合わせたといったところかもしれない。ちなみに、ハーストはオーソン・ウェルズ監督の名作「市民ケーン」のモデルといわれる。
 ともあれ、メディア王、マードックに対する批判は当分、続きそう。基本的に主流メディアは、マードック的な大衆扇動型の手法に嫌悪感を持っているから、ここぞとばかりに攻撃するのではなかろうか。
★[FT]始まったマードック帝国の崩壊:日本経済新聞 => http://s.nikkei.com/pCfpsR
★英野党党首:ニューズ、BスカイB子会社化計画の撤回を要求 - Bloomberg.co.jp => http://bit.ly/rljNgu
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