ヒッチコックの作品発見かと思ったら、ヒッチコックが脚本を書いた作品でした

サスペンス映画の巨匠、アルフレド・ヒチコック(1899-1980年)が監督となる直前の時期に制作に関わった映画のフィルムの一部が、ニュージーランドで保管されていることが分かった。全米映画保存基金が3日、明らかにした。▼作品は1923年制作のサイレント映画「ホワイト・シャドー」。監督はグラハム・カッツで、ヒチコックは脚本や編集、美術監督を担当した。

 ヒッチコックの作品というから、当然、監督作品かと思ったら、脚本、編集、美術を担当した作品だった。それでも、ヒッチコックらしさは反映されているのだろうか。『映画術 ヒッチコックトリュフォー』によると、ヒッチコックはグラハム・カッツ監督と組んで、「女と女」「白い影」(「ホワイト・シャドー」=今回、発見された映画)、「街の恋人形」「与太者」「淑女の転落」の5作品で脚本、美術、助監督などを担当していたらしい。このあたりの映画は、さすがにトリュフォーも見ていない様子だった。ヒッチコックもカッツと最初に組んだ「女と女」については語っているが、「白い影」に関する思い出には触れていない。で、5作目の「淑女の転落」のあと、ヒッチコックはカッツに首にされ、それを機に監督としてデビューすることになったという。
 カッツ作品への参加でヒッチコックが得た最大の収穫は、生涯の伴侶、アルマ・レヴィルだったのかもしれない。上の記事では編集もヒッチコックになっているが、「女と女」の編集はアルマで、ここで初めて最愛の人と出会ったのだそうだ。

定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー

定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー