日本人が宮本武蔵を好きなように、米国人はワイアット・アープが好きなんだな、と思う5本の映画

 このところ、CSで「OK牧場の決斗」をよく放映している。で、つくづく思うのは、アメリカ人はワイアット・アープが好きだなあ。いろんな俳優が演じたがる。その点、宮本武蔵に似ていて、大衆映画の王道の話なのかもしれない。宮本武蔵のクライマックスが巌流島の決闘であるように、ワイアット・アープにもOK牧場(コラル)の決闘がある。
 で、個人的に思いつくのは、5本の映画。まず、古典は、ヘンリー・フォンダがアープを演じたこちら。

 ジョン・フォード監督の「荒野の決闘」。盟友のドク・ホリディを演じてたのはヴィクター・マチュア。フォンダは物静かで、「七人の侍」の宮口精二みたいな感じ。普段は物静かだけど、強い。
 続く古典はもっと演歌調で、けれん味たっぷりに展開するこちら。
OK牧場の決斗 [DVD]

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 ジョン・スタージェス監督の「OK牧場の決斗」。CNの「ザ・シネマ」でウェスタン特集をやっていて、その1本。アープがバート・ランクスターで、ホリデイがカート・ダグラスだから、相当濃い。決闘で殺されることになるビリー・クラントン役で、若き日のデニス・ホッパーが出ている。まだ可愛い。後年のエキセントリックさはないし、「イージー・ライダー」にもなっていない。
 ジョン・スタージェスはもう1本、アープ映画を撮っていて、それがこちら。 「墓石と決闘」で、これはOK牧場の決闘から始まる後日談。前の2作品が決闘の勝利で終わるカタルシスがあるのだが、こちらはその後、兄弟を殺傷され、アープが復讐の鬼になるというアンチ・ヒーロー色のある映画。1967年の映画で、既にケネディ大統領は暗殺され、ベトナム戦争が泥沼化していった頃だから、ヒーローも屈折し始めた時代だったのだな。アープがジェームズ・ガーナー、ホリデイがジェイソン・ロバーズ、アイク・クラントンがロバート・ライアンという渋い顔ぶれ。ロバーズのホリデイがいい。
 このあたりで、ワイアット・アープもやり尽くした感じが出たし、西部劇というジャンルも沈滞していくのだが、90年代になると、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990年)のヒットもあり、西部劇が復活し、アープ映画が再登場する。まず、こちら。
トゥームストーン [DVD]

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 ジョージ・P・コスマトス監督の「トゥームストーン」。アープがカート・ラッセルで、ホリデイがヴァル・キルマーという若々しい組み合わせ。キルマーが肺を病んだホリディを青白く熱演していた。「デスパレートな妻たち」のキャサリン役のダナ・デラニーがアープの恋人役で出ていた。こちらは90年代の映画だから、苦悩し葛藤するアープといった感じの映画。
 で、もう1本が、その名もずばりというこちら。
ワイアット・アープ 特別版 〈2枚組〉 [DVD]

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 ローレンス・カスダン監督の「ワイアット・アープ」。アープはケビン・コスナー、ホリデイはデニス・クウェイド。コスナーは西部劇大好きな人だから、アープ役はどうしてもやりたかったのだろうなあ。カスダンは80年代に西部劇を復活させた「シルバラード」を撮って人で、コスナーはこの映画の前後から注目を集め始めた。で、コスナーらしいこだわりで、生い立ちから始まるアープ物の集大成のような映画なのだが、ともかく長い。長いという印象がまず頭に浮かぶ映画なのだが、どのくらいの長さだったのか、ウィキペディアで調べてみたら、劇場公開版が191分、ディレクターズカットが211分。本当に長い。
ウィキペディアで「ワイアット・アープ」その人をみると => http://bit.ly/rjehCV